競馬

札幌記念といえばこの馬! ~おやじの思い出語り~

札幌記念といえば…思い浮かべる馬は当然…

エアグルーヴだよね?

 

だけど過去10年の成績表からはもうその名前がないんかぁ…なんて思いつつ、彼女が勝ったのはいつだっけ?と確認してみたら、1997年と1998年。

もう22年前やんかーい!と自己ツッコミが必要なぐらい長い年月が経っていた。

だけど、この地で見せた走りは今もって色あせない。

連覇したいずれの年も印象に残っているね。

 

最初の1997年は、秋華賞でよもやの大敗を喫した後、復帰戦のマーメイドSを勝つのは当然として、久々の牡馬との対戦となったこのレースが試金石となっていた。

ライバルには皐月賞馬にして、前走の安田記念を2着したジェニュイン、その前年のマイルCSを勝っているように、マイル戦なら当時のトップクラスの力を誇っていた馬だ。

 

ちなみに、この「ジェニュイン」とは、「正真正銘の」とか「本物の」という意味があって、管理していた松山調教師が、「これぞ!」という馬が現れるまで温め続けていた名前なのだそうだ。

そんな逸話のもとに名付けられたジェニュインは、期待通りに皐月賞を勝ち、ダービーと3歳の身で挑んだ天皇賞(秋)いずれも2着、古馬になってからはマイルCSを制し、この年の安田記念も半年ぶりながら2着して札幌記念に挑んできていた。

 

エアグルーヴがその秋、牝馬路線を歩むのか、牡馬に闘いを挑むのか、その指標ともなるべき重要な一戦がこの年の札幌記念だった。

結果、エアグルーヴは、当面のライバルと目されていたジェニュインのみならず、函館記念を勝って勢いに乗るアロハドリーム、その年のエリザベス女王杯を制することになるエリモシックらを子供扱いした。

 

この結果を受けて秋は牡馬相手の天皇賞(秋)に駒を進め、見事にバブルガムフェローを封じ、牝馬として初めて2000mの天皇賞を制したのであった。

バブルガムフェローは前年の天皇賞(秋)を3歳の身で制したほどの逸材、4歳になって完成の域に達したそのツワモノを牝馬がねじ伏せたあの衝撃は未だ脳裏から離れないほどだ。

 

こうして女帝に君臨したエアグルーヴだが、その後のジャパンカップ2着、有馬記念3着、年が明けてG2の大阪杯は勝ったものの、次の鳴尾記念は伏兵相手によもやの2着、宝塚記念も3着。

並の馬なら十分すぎる成績なのだが、それまでの快進撃を思うと、G1で2着や3着でも物足りないと思わせるほどの牝馬に成長していた。

 

宝塚記念では、ひとつ年下の牡馬サイレンススズカ、ステイゴールドの後塵を拝し、さすがのグルーヴもここが限界か…と感じさせたタイミングで挑んだのが2度目の札幌記念。

サイレンススズカの下には、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダーらの台頭もあった時代。今となっては夢のような大物が勢ぞろいしていた。

それでもこの時期ならまだ中距離ならエアグルーヴ最強を唱える者も多かった。

そんな馬がG2に挑んできたら人気になるのは当然で、相手が軽かったこともあって、札幌記念のオッズは1.3倍。

勝つことは規制路線。どんな勝ち方をするかというのが焦点となった。

 

結果は2着サイレントハンターに3馬身半をつける楽勝。

このサイレントハンターという馬は、前走こそ崩れていたが、それ以前は3連勝で新潟大章典を勝っていた上がり馬。今年でいえばトーセンスーリヤと似たタイプだろうか。

そんな重賞勝馬をしてグルーヴの前に成すすべなし。

“赤子をひねる”という表現がピッタリくる圧勝劇であった。

 

この勝利を引っ提げて、その年の秋は前年勝った天皇賞(秋)には向かわず、2着に屈したジャパンカップを最大目標に、エリザベス女王杯を叩き台とした。

名伯楽・伊藤雄二調教師が取ったこの戦略は、個人的には失策だったと思ってしまう。

悪い言い方をすればなめた仕上げで挑んだエリザベス女王杯は3着に取りこぼした。

牝馬同士で3着に伸びあぐねる彼女の姿は正直見たくなかった。

勝ったメジロドーベルも名牝、甘い仕上げなら負けてもおかしくはない相手ではあったが、それ以外の牝馬に負けるとは…というのが当時の率直な感想。

 

そもそもエアグルーヴに京都2200mの舞台は合わない。

この年もベストと思える天皇賞(秋)に参戦していれば…

この年の天皇賞は、1.2倍に支持されたサイレンススズカに悲劇が起きた悲しき一戦。

勝ったのは8歳のオフサイドトラップだった。

エアグルーヴが出走していたらどうなったろう…?

 

エリザベス女王杯の後の最大目標であったジャパンカップは、スペシャルウィークに先着する意地は見せたものの2着、そのはるか前方にはエルコンドルパサーがいた。

それでも、エリザベス女王杯から中一週という厳しいローテながら、昇竜の勢いで臨んできた2歳年下の強力牡馬陣に割って入った走りは素晴らしかった。

 

ラストランとなった有馬記念は5着に敗れたが、そもそもこの舞台は彼女の適性外の舞台。道中は落鉄もあったという。

 

勝ったのはグラスワンダー。

エルコンドルパサー、スペシャルウィークと双璧をなすいわずとしれた名馬である。

 

さらに、2着メジロブライト、3着ステイゴールド、4着セイウンスカイ、6着キングヘイロー、7着シルクジャスティス。

なんだ、この豪華な布陣は!

 

当時、彼女のファンだった私は有終の美を飾れず5着に敗れたことにショックを受けたが、今ならこの強豪を相手に健闘したその偉大さが分かる。

グラスワンダーもステイゴールドもその産駒や孫が有馬記念の舞台を得意としていたように、この舞台が大好物だし、メジロブライト、セイウンスカイも3000m級のG1馬でスタミナが豊富。

2000m、2400mといった根幹距離ベストのエアグルーヴが、この舞台で5着に踏ん張った功績を今更ながらに賞賛したい。

 

これを記しながら過去の戦績を振り返ると、未だに彼女が最強クラスの牝馬と評価される理由が分かってきた気がする。

G1タイトルの数では、ジェンティルドンナやウオッカにとうてい敵わないけど、対戦してきた相手を考えると、一概にタイトル数だけで判断できるものじゃないんだなと。

 

それにしても、この名牝のレースをリアルで観ていた者はほぼオッサンの域に差し掛かっているんだよなぁ。

でも、オッサンでもいい、こんな素晴らしい馬のレースをリアルで目撃できたんだからね。

 

さてさて、当初、今日は札幌記念の見解を記そうと思っていたのだが、つい想い出語りとなってしまった。明日以後は今年のレースに目を向けねばな。

でもって今年の人気馬も牝馬のラッキーライラック。

宝塚を敗退しての参戦という意味ではエアグルーヴと同じローテだけども果たして…?

大崩れはまずないんだろうけど、穴馬の入り込む余地はありそな予感。

ちょっと気になる馬がいるんだよね。

それはまた後日!

 

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