個人的に気になったのが、オークスで1、2番人気が共倒れだった年はどのくらいあるんだろうというところで、1996年からの25年でチェックしてみたところ3年あった。
2004
1番人気ダンスインザムード4着
フラワーC1着、桜花賞1着
2番人気ヤマニンシュクル5着
阪神JF1着、チューリップ賞、桜花賞3着
<崩れた理由>
無傷の4連勝で桜花賞を制したダンスインザムードがオークスでも1番人気に支持されるも直線伸びあぐね4着。これは予測しにくい凡走だったが、この年勝ったダイワエルシエーロは既に東京での重賞勝ちの実績があったし、クイーンC勝ち⇒桜花賞凡走⇒オークス巻き返しの黄金パターン(最近は不発傾向だが)、2着スイープトウショウも桜花賞時点まではダンスインザムードに互す人気を誇り、実績面でいえば上回っていたほど(重賞2勝)。こうした強敵がいたので、ダンスインザムードが凡走したというよりは、桜花賞で不発に終わった実力馬が巻き返したという印象も強い。ダンスインザムードもスイープトウショウも古馬になってもG1を勝つようなレベルの高い年だった。
2006
1番人気アドマイヤキッス4着
チューリップ賞1着、桜花賞2着
2番人気キストゥヘヴン6着
フラワーC、桜花賞1着
※オークス17番枠、桜花賞6番人気
<崩れた理由>
桜花賞1番人気2着のアドマイヤキッスだが、未勝利突破までに3戦を要したように、もともと世代で抜けた存在ではなかったし、臨戦的にも厳しく、私がこの時代に今の理論で予想していたら危険人気馬に指名していただろう。
桜花賞を勝ったキストゥヘヴンは桜花賞では道中16番手からのイチかバチかのアンカツの戦略がハマった形で6番人気の伏兵だからこそできた策。この馬も未勝利を勝つのに3戦要しているし、ハマった後の一戦でかつ枠の不利もあって妥当な敗戦。
2008
1番人気リトルアマポーラ7着
クイーンC1着、桜花賞5着
※オークス18番枠
2番人気レッドアゲート6着
フローラS1着
<崩れた理由>
クイーンC1着の実績のみのリトルアマポーラが1番人気という低レベルの年。東京実績、距離延びて良さそうというイメージから人気に押し出されたが、枠順の不利もあって7着。2番人気もフラワーC2着⇒フローラS1着の別路線からのレッドアゲート。この馬も今となってみてはかなりの過剰人気。
この年は結果として、桜花賞1着(レジネッタ)、2着エフティマイア(2着)がオークスで3着、2着にスライド圏内。勝ったのは2歳女王トールポピー。結果として桜花賞上位馬と1番人気馬の組み合わせ。終わってみれば簡単そうなのに大波乱。まぁエフティマイアの2走連続の激走は読みにくかったけど。
<総括>
過去25年中1、2番人気の共倒れは上記3年のみ。2006年、2008年はいずれも怪しい臨戦だったり、そもそも能力が下という馬が過剰評価されていた印象。これらを踏まえた上で今年の1、2番人気馬を検証しよう。
2021
ソダシ(→)
札幌2歳S、アルテミスS、阪神JF、桜花賞(無敗)
かつてこれほどの実績を携えてオークスに挑む馬は記憶にないほど。それが白毛馬というのだから何とロマンチック。ただ、臨戦過程評価自体は平行線がいっぱい。これだけ実績を積み上げてきたということはそれだけ疲弊(勤続疲労)はあるはずだし、800mの距離延長は決して有利ではない。
このパターンだと、オークスを迎えた時点では能力断然と思われていたダンスインザムード(4着)のようなことがあっても驚けないが、今年は当時のスイープトウショウのような隠れ実力馬が乏しいのも確か。臨戦は平行線なら十分で地力の違いで上位争いは必至か。
ソダシを脅かす存在としては、少なくとも重賞勝ちの実績は欲しい。
と思って相手を見渡すと…
アカイトリノムスメ
クールキャット
ファインルージュ
意外にもソダシ以外の重賞勝ち馬はこの3頭しかいなかった。過去10年、桜花賞組以外で3頭の勝ち馬を輩出している、忘れな草賞1着馬のステラリアを加えても4頭だけ。
ステラリア
ということで、ソダシが取りこぼすとしたら、上記4頭の中から出るのではないか。ただし、オークスと相性の悪いフェアリーS勝ち馬にして桜花賞も8番人気の激走だったファインルージュ、フローラSで5番人気にとどまったクールキャットは、オークスで馬券になったとしても勝ち切ることはないと思われ、ソダシを負かす可能性があるのは、アカイトリノムスメかステラリアなのでは。
ソダシに話を戻すと、桜花賞で1000m通過56.8のハイラップの流れを3番手から抜け出してサトノレイナスを抑え込んだ内容は着差以上の強さだったが、その反動が出る可能性と、そんなハイラップにも悠々対応できたスピード適性が今回の舞台でどうなのか?という懸念はある。
ただし、前述の通りソダシに対抗しうる馬が少なく、絶対的な能力差で押し切る、少なくとも馬券内は確保するのではないか。
<想い出話>
そういえばかつて、ベガという名牝が桜花賞を勝った時、最後の直線でユキノビジンに追い詰められての辛勝だったことから、桜花賞で2.0倍だったオッズがオークスで3.4倍となった。
そんなファンの一抹の不安をあざ笑うかのように楽勝したオークス後、武豊騎手は「距離が延びた方がいいと思っていたのに、なんで人気は落ちたんですかね」みたいなことを言っていたような。
ベガはトニービンの仔で血統的には東京向き(といっても初年度産駒なので当時はまだ未知だったが)だったが、ソダシ同様に前進気勢の強い馬だったので、距離が延びてどうかと思われていた。それがオークスでは桜花賞に続いて2着に激走したユキノビジンとの着差を0.0から0.3に広げてみせた。
結局ソダシも一抹の不安をあざ笑うかのようにあっさり勝ってしまうのかなという気もする。ちなみに2着のユキノビジンも距離不安が囁かれ、桜花賞2着馬ながら離された3番人気にとどまってい。
逆に2番人気に浮上したのは、桜花賞ではこの2頭に次ぐ3着だったマックスジョリー。リアルシャダイ産駒で距離が延びて逆転も、との期待を受けての人気だが、だいたいこの手のケースでは逆転が見られないのも往々にして。今時期の若駒は距離適性よりも能力面が優先されるからなのかも。だから今回も距離が延びるから良さそうという見立ては捨てて予想した方がいいような気もしている。
さて、今度は2番人気の話に戻って。
アカイトリノムスメ(↗)
クイーンCを勝ち、桜花賞4着のアカイトリノムスメは、かつてならオークスで人気を落としたタイミングで狙いたいクチだが、どうやら今年は人気になってしまう。そうなると妙味もないし、評価を下げることもありなのかもしれないが、今年は他に目ぼしい馬が少ないのと、東京3戦3勝という実績からも素直に評価するしかないかなという感じ。
臨戦的にも別段悪い要素はなし(とういかむしろ良い)。桜花賞組で巻き返してくるのは、桜花賞で3番人気以内か3着以内という近年のデータがあるようだが、3着馬とクビ差だったこの馬をそのデータにあてはめて無理やり軽視するのも違うと思うし素直に。ただし、ソダシとこの馬でワンツーというのは競馬のセオリーからしてないような気もする。
そんな感じで今年の1、2番人気が共倒れすることはないと判断し、どの馬が本命とか対抗とか決めるまでもなく、この2頭を一列目に置いたフォーメーションでいこうと思う。
A ソダシ、アカイトリノムスメ
2列目に置く一頭目はステラリア(→↗)
この馬はデビュー当初からかなりの素材と褒めたたえてきたが、それとは裏腹にデビュー当初は連対もできずの取りこぼし。これは今になってみれば距離不足もあったろうし、馬自身の若さもあったのだろう。
3走目の牡馬混合の芝1800m戦で5馬身差で勝ち上がった内容は、リスグラシューの未勝利勝ち時にも通ずる圧巻の勝利。牝馬が牡馬相手に(中央場所で)この勝ち方ができた時点で相当の器と思っていい。
次のベゴニア賞は2着に取りこぼしたが、これは反動(事実馬体も-10)。それでいて後の青葉賞2着馬相手にクビ差。リズムの悪いままに挑んだクイーンCはレースにいってのリズムも悪くスタートで不利。直線は4コーナー15番手という絶望的な位置からアカイトリノムスメ、アールドヴィーヴルと0.3秒差。
ククナを含めた上位3頭が同じようなコース取りから伸びてきたのに対し、本馬はただ一頭大外ぶん回しの形でもあった。この時点で少なくとも対アカイトリノムスメなら、器用さでは劣るものの能力ではそう劣らないことを示しているし、距離が伸びてその差はさらに詰まるものとみる。1800m以上で2戦2勝の実績はタフな今回の舞台で圧倒的優位点。
もう一頭はユーバーレーベン(→)
前走OP以上のレースで上がり最速を使っていたのはステラリア、タガノパッションと本馬のみ。本馬もデビュー戦で牡馬混合の芝1800mのデビュー戦を勝ち、2戦目の札幌2歳Sでソダシをクビ差まで追い詰めた。
適性外(東京芝1600)と思われるアルテミスSでは凡走したが、これは鞍上との息も合ってはいなかった。阪神JFでは再びソダシを追い詰め、能力の高さは(舞台が舞台なら)ソダシと双璧もしくは逆転もある。今回の舞台がその舞台となるかというと、正直もっと上がりの掛かるタフな条件の方がいいとは思う。
が、ソダシ以上に体力、スタミナを有していることも確かだし、前走で33.2の上がりを使えた点も心強い。前走は明らかにスローの前残り。スライリーには失礼だが、14番人気のこの馬が2着に粘れたことも楽なペースの証拠になるなわけで、そんな中4コーナー10番手からスライリーと鼻差なら十分な内容。
ゴールドシップだからといって距離が延びていいとも言い切れないし、距離が延びて良さそうなタイプという馬は実際にはその期待値通りの結果を残せないという過去の結果からも、過渡の期待は禁物とも思うが、そもそもこの馬にはソダシを2度も追い詰めたという勲章がある。期待値だけではなく既に実績もある馬なのである。岡田さんの後押しもあるのではないか?なんていう別の観点からも応援してみたくもなったりして。
B ステラリア、ユーバーレーベン
以下3列目候補
アールドヴィーヴル(↗)
まずこの馬は、いったいったのスローの流れ、しかも不良で差しにくい馬場を差し切った新馬戦に度肝を抜かされた。負かした相手もヴィジュネルだから弱い馬ではない。4か月ぶりのクイーンCで順調に使われていて既に東京実績のあったアカイトリノムスメに迫った脚もまた見事で。
前走に関しては臨戦過程も悪かったし、私は評価を下げていた。それで0.7秒離された5着だが、これなら思った以上に走ったという評価になるし、今回は臨戦過程も悪くない。
ただ、フォトパドックを見ると腹は明らかに巻きあがっている。長距離レースに挑むにあたって無駄肉を削ぎ落とすケースはままあるが、この馬の場合はそれともまた違う印象もあり。当日これ以上減らなければだが。
近年のデータでは桜花賞5番人気7着といった馬はオークスでは来ていないが、かつては桜花賞を0.6~0.9秒差以内で負けた馬が5頭も巻き返している。
下記参照
2002 チャペルコンサート
桜花賞0.7差
エルフィンS1着、チューリップ賞3着
2004 スイープトウショウ
桜花賞0.9差
ファンタジーS、紅梅S、チューリップ賞1着
2007 ローブデコルテ
桜花賞0.8差
紅梅S1着
2013 メイショウマンボ
桜花賞0.9差
フィリーズレビュー1着
2015 クルミナル
桜花賞0.7差
エルフィンS1着、桜花賞2着
共通するのは桜花賞以前にOP以上のレースを勝っていたということだが、本馬はクイーンC2着(しかもキャリア一戦のタイム差なし)。これをOP勝ち相当と見なせばまだ巻き返しの余地はあるか。アカイトリノムスメを評価して本馬を評価しないというのもおかしな話だし。
C アールドヴィーヴル
以下、同じ3列目の位置でもアールドヴィーヴルより評価を落とす馬
クイールキャット(→)
今年の桜花賞組は先に挙げた馬たち以外に巻き返せる馬がいないようにも映るので、近年のトレンドにもなっているフローラS勝ち馬を。個人的には前走5番人気だったし、ルメールでなければ勝っていたかは疑問だし、馬体重も重すぎるし(過去10年500キロ以上はバウンスシャッセ一頭のみ)、ルメールに捨てられたし、微妙なんだけれどもひとまず押さえるといったところ。
ククナ(→)
前走は着狙いの騎乗で6着。アルテミスS、クイーンCの内容で一応押さえるが、正直上位とは差がついてしまったかな。でもおそらく人気もないだろうし念のため押さえてもいいかなくらいの評価。
タガノパッション(→)
カワカミプリンセスの2月デビューよりも遅い3/20デビューであっという間にここまで駒を進めてきた。この馬は稽古からもこれまでの戦歴からも相当に能力は高そう。ただ、そうは言ってもさすがに今回は…というのが正直なところで今回も押さえまで。
ファインルージュ(→↘)
福永がステラリアではなくこちらに騎乗したきたので一応押さえるが、臨戦は良くないし、デビュー戦は1200m戦。母も1200m以下の実績馬でその父もボストンハーバー。距離延びて良い要素もなく、消しでもいいのかなという感じだが。それなりに人気するだろうし押さえも押さえ。
D クールキャット、ククナ、タガノパッション、ファンルージュ
以上から買い方はまた別として印を付けるとしたら
◎ソダシ(頭は盤石ではない)
○ステラリア
▲アカイトリノムスメ
△ユーバーレーベン
△アールドヴィーヴル
てなところ。
結局人気どころかな。
今年は例年ならそこまで人気にならない忘れな草賞勝ち馬(去年は13番人気)やフローラS経由組(去年は勝ち馬が7番人気)が人気になってしまうようなメンバー構成だし、それが決して過剰人気とは思わないので素直に評価した結果。
今週特別戦の中で狙っている馬
1970年代生まれ。生粋のギャンブラー(中央競馬のみ)でありながら、自然散策や温泉、寺社仏閣巡りなど一見すると相反するような殊勝な趣味を持ち、毎週のように出かけているので馬券は旅先で買うことが多くなっている。便利な現代に感謝。ほか、三国志や中韓歴史ドラマをこよなく愛し、中国4000年の歴史を持つ気功や太極拳などもかじっている。実生活では愛猫との2人暮らし。セミリタイアを夢に、競馬だけでなく、株式投資やFX、せどりなどいろんな金稼ぎには大いに興味あり。このブログもアフィリエイトやGoogleアドセンスを始めるきっかけとして立ち上げた。